野奈の小説集

小説を投稿していきマース

触らぬ愛に祟りなし4

ラストの試合。ここまで、全戦全敗である。攻撃が速すぎて、防ぐことしかできない。まぁ、全試合そんな感じだったけれど。

 

エイデンの目の前にロング・ソードがせまる。あっ、負けるなと思ったがおかしなことに気づいた。

 

……剣がオーラまとってな――。次の瞬間、吹き飛ばされていた。

 

待って、このままじゃ木にぶち当たるよね!?もがいたところでどうにかなるわけでもない。死を悟り、ギュッと目をつぶった。

 

衝撃がきたが、痛くない。誰かが抱きとめてくれたようだ。その人ごと、木にぶつかったらしい。葉っぱが大量に落ちてきた。

 

「……大丈夫ですか?」

自分の背後から天使の声が聞こえてくる。恐る恐る振り返ると、ゲネシス先生が苦笑していた。身をていして守ってくれたようだ。

 

それはいいんだけど、顔がものすごく近い。あっ、ダメだ直視できない。

「先生こそ大丈夫ですか!?」

 

先生の腕から逃げるように出る。

「大丈夫と言いたいところですが……」

先生はよろよろとエイデンに近づき、彼の肩に腕をかける。

 

「肩を貸してください」

体重をかけられるが、さすがに支えきれない。先生が重いわけじゃない。身長の問題だ。20cm差で先生を支えきれるわけがない。でも、先生は重くない。

体育教師が駆けつけてくれたため助かった。

 

「あー痣がすごいねーまぁ、大したことじゃないから平気だよ」

白衣の天使(レナール命名)ことガルディアン先生が、優しく微笑んでくれる。ゲネシス先生の方が天使だけど。

 

あの後、保健室に運ばれたゲネシス先生はガルディアン先生に湿布を貼られている。

 

「ほぉら。もうすぐ次の授業、始まっちゃうから教室戻りなさい。ね?」

「はっはい。あっ……」 

「ん?」

「ゲネシス先生」

大人しく湿布を貼られていたゲネシス先生がこちらを向く。

 

「あっありがとうございました」

先生は一瞬驚き、笑みを浮かべる。

「いえいえ、先生として当然のことをしたまでですよ」

あぁ、笑った顔かわいいな。

 

「失礼します」と言って俺は保健室を後にした。