触らぬ愛に祟りなし5
「良かったね、ゲネシス先生」
呼ばれたため、顔を向ける。
「その呼び方、やめろ」
「分かったよ。シーナ」
フェルナンはため息をつき、椅子に座る。
「まったく、無茶しないでよね」
「した覚えはねぇ」
フェルナンの向かいの椅子に腰掛ける。
「……まぁいいや。今回もあの子のこと守るの?」
「当たり前だ」
高校で会うことになるとは思わなかったが。
先程、抱きとめたエイデンの感触を思い出す。100年ぶりだったが、やっぱり引きしまった体つきだった。しかも、抱きとめられたのが俺だとわかった瞬間、顔を真っ赤にしてかわい――。
「もう、分かったから。うるさいよ」
フェルナンが顔を歪める。
「え?」
「声に出てた」
「嘘だろ?」
「本当」
こんなつまらない嘘をつく奴ではないので本当だろう。
「あと!」
ビシッとシーナの顔を指さすフェルナン。
「ニヤニヤしてて気持ち悪い」
……学校であいつのことを考えるのはやめておこう。