野奈の小説集

小説を投稿していきマース

触らぬ愛に祟なし(※BL要素あり)

何度目だろうか。所属不明の神駒(こうく)と殺り合うのは。

「で、結局てめぇはどの神の駒だよ?」

無数のクナイを創造し、神駒に向けて飛ばす。

 

「お答えする義務はありませんので」

それら全てを神駒は、刀で捌く。その間もクナイを創造し、飛ばす。もうエイデンは遠くまで逃げたはずだ。

畳み掛けるようにこれまでよりも倍の速さで、クナイを創造し飛ばす。

 

「創造の神(ゲネシス)様に用はないんですけどっ」

突如、神駒の刀が白いオーラをまとった。どうやら、魔力を付与させたようだ。地上では道具を通してでしか魔力が使えない。そういう制約がある。実に面倒だ。

 

神駒は魔力が付与した刀を振り払った。衝撃波がきたと同時にクナイは全て空中で静止し、地に落ちた。

 

神駒は白い息を吐いた。刀は暗闇で白く輝いている。

「最初から魔力使えば?」

私たちと魔力の量が少ない神駒への皮肉だ。

 

迫りくる神駒の攻撃をシールドを展開し、防ぐ。新しく創造した短剣2本もその間に完成する。

「……皮肉ですかっ」

どうやら伝わったらしい。

 

シールドを破壊されたため、左右に持った短剣で確実に受け止めていく。

金属音が鳴り響く。ずっと続くかに思われたその音は、神駒が離れつつ、刀を振り払ったことにより鳴り止んだ。

 

再びくる衝撃波。そのせいで、一瞬動きが止まる。

「普通、吹っ飛ぶはずなんですけどね」

神駒が息を整えている間に、再び無数のクナイを創造し、飛ばす。今さら気づいたが、木が何本か倒れていた。

 

神駒は刀を振り払う。クナイは全て地に落ちた。だが、刀がまとっていたオーラは消えた。どうやら、魔力の限界らしい。一気に間合い詰め、首元に短剣を突きつける。

 

「長かったなぁ」